ユーザー事例3- (株)シーク 征矢様、水谷様

当ブログでとりあげるユーザー事例も3回目となります。今回は(株)シークを経営されているお二人
征矢様と水谷様にお越し頂きお話を伺いました。

長谷川 まず始めに御社のビジネスについて教えて頂けますか?

水谷 私たちの会社では主に3D CADを使ったビジネスを展開しています。具体的にいうと3D設計、モデリングデータ作成などのサービスなどです。またオペレーターを客先に派遣する業務も行っています。あとは3DCAD導入支援、トレーニングなどといった付加サービスですね。

長谷川 なるほど。因みにですがどういったCADソフトを扱われているのですが

水谷 CATIAとPro/EなどのPTC製品です。

長谷川 そうですか。ツールから推察するにユーザーは自動車や家電メーカーとなるわけですね。

水谷 そうですね。そういうことになります(笑)。

長谷川 以前からこういったお仕事をされていたのでしょうか?

水谷  はい。実は以前はソニーにおりまして機械設計の業務を行っていました。2000年前後丁度3DCAD黎明期というかあの手のツールが入り始めた頃です。

長谷川 Pro/Eがソリッドモデリングという当時は斬新なコンセプトでいろんな会社、特に家電メーカーに入り始めた頃ですよね。?

水谷  そうですね。今と違ってソフトウエアも高かったし、ハードもPCでは動かなくてUnixの高価なワークステーションを使っていました。設計者側も使える人も多くなくて偏りがちになる。そんな時代ですね。最初に導入されたのは確かラジオの部署だったと記憶してます。それがちょっとづつ広まってVaioだったりオーディオだったりテレビに使われて今に至る。そんな感じですね。

長谷川 ラジオというのは最初に3DCADを使って設計/開発する製品としてはいいかもしれませんね。
モジュール化された製品だし、あまり大きくないし(笑)。部品点数増えると当時のCADではかなりきついかと。

水谷 そうです。各部品の構成は大体決まっていて、といういわば枯れた製品ですね。そういうものから始めたのは正解だったかと。ただそんな話は簡単ではなくてかなり大変でした。デザイナーの要望を優先させるとあっちが入らないとかそういうことが頻繁に起こってw。

長谷川 知る限りデザインに関してはかなりこだわる、悪くいうと(失礼な言い方ですが)五月蠅い会社ですね?

水谷 はい。かなり五月蠅いです(笑)まあデザイン対設計というのは必ず対立する構図でもあるのですがソニーはデザイナーの要望を最大限尊重する会社でもあるのでやっぱり大変ですね。あと他の製品で思い出深いのはClieですかね。

長谷川 それは懐かしいですね。ソニーが出したPalmOSのPDAですね。

水谷 はい、非常に苦労した製品でもあります。なんていうかデザイナーの要望する形状や曲面がちょっとやそっとでは出来ないんですよ。当時のソリッドモデラーでは。

長谷川 意匠面はやはりきついものがありましたか?

水谷 はい。力業で、いわばツールをねじ伏せるように面を作っていくのですがその時にモデラーとして来てもらっていたのが征矢です。

征矢 はい、試作メーカーから常駐していました。

水谷 その後いろいろありまして、ソニーを辞めることになりまして、その時征矢のほうが既に個人でこのビジネスをしていたのですがそれに僕が合流して法人化したのが今の会社となります。

長谷川 なるほど。お二人ともご自身の経験を生かされて今のビジネスを始められたわけですね。

水谷  はい、そうです。そういった意味では今までの仕事の延長上ですね。

長谷川 ここでやっとというか(笑)KeyShotの話になるのですが、その辺りについて教えて下さい。

征矢  今は僕が主に使っています。元々僕はデザイン畑の出身なのでこの手のものは多少は理解していました。

長谷川  レンダリングソフト、つまりCADデータを綺麗にお化粧して表示するもの、ということはご理解されていたと?

征矢  はい。他のソフトはいくつか試したこともあるのですが、小難しいというか、わかりにくいというか・・・

長谷川 そういう話はよく聞きますね。パラメータが沢山あるんだけどどれをどう設定したらいいのかわからない。そこを詰め切れないのとレンダリングに時間が掛かるので欲しい絵が出来ない。そういったジレンマは以前からよく聞いてました。

征矢 KeyShotは勝手に中で絵がじわじわと出来上がっていくのでそこがいいですねえ。こちらが何もしなくても質感がついていくので。またそれを見ながらいろいろ弄れるので、つまりダイレクトに反応が返ってくるところが素晴らしいです。

長谷川  それもユーザーからよく伺います。皆さんMayaやMAXを使うCGのオペレーターじゃないのでKeyShotのなるべくボタンが少ない、パラメータがややこしくない操作感というのは確かに評判がいいです。

水谷  実は征矢が触り始める前に、ちょうど2,3年ぐらい前ですか、僕が試しにダウンロードしたことがあったのですが。彼にもちらっと説明したのですがその時は「ふーん」という感じで全くのノーリアクションでしたw。

長谷川  やはり自分で触らないとわからない、という側面はこの手のソフトではあるかと(笑)

征矢  で、僕が使うようになってからKeyShotで作った絵をユーザーの所に持っていくようにしたのですがこれが中々好評で。

筆者注 ここでいくつかの作品を見せて頂きました。画像は下に貼ってありますがどれもなかなか
素晴らしい出来です。

征矢   今までの主な仕事は3Dデータの作成やオペレータの派遣なのですがここから派生してもう少し違った趣の仕事をやろうと水谷とも話していました。その一つがデザイン系の仕事なのですが、製品開発初期の、コンセプトデザインの段階から頂いた話があって、こちらで形状を作成後、KeyShotでレンダリングを行いました。それを持っていったらクライアントにも非常に好評で、お陰様で受注することができました。

長谷川 それはホントに良かったですね。確かにまだ実物が無い段階でこのような高品質のレンダリングイメージをいくつか見せることは非常に効果があると思います。

水谷  テレビショッピングで扱う商材なのですが、ユーザー側でだいたいどんなものが出来るか、というのを前もって知る、見ることができる、というのはなかなかのメリットらしいです。例えばどういった層にうけるか、というのも未だ製品開発が始まる段階である程度予測を立てられるらしいのです。

長谷川 なるほど。そのようにある程度販売サイクルや下流のマーケティングを巻き込んで製品開発を進めるというのは本来あるべき姿ですよね。出来上がってから広告やる、ではやはりちと遅いかと。それにしてもお仕事に非常に生かされてるということが今日改めてわかりました。こちらとしては嬉しい限りです。

征矢 はい、アニメーションを作ったりとか、スチール以外にもいろいろ始めています。

水谷 僕らとしては3Dプリンターでのモックの作成やCGコンテンツの作成それらを同時にやっていきたいですね。

長谷川 今日はお忙しい所色々と興味深いお話を伺いました。どうもありがとうございました。

取材後記
既存のビジネスに付加価値を与えて新しい商材として積極的に活用されているようです。興味深い事例ですね。

株式会社シーク

ユーザー様からのサンプル

前回ユーザー事例で紹介させて頂いた工業デザイナーの澄川さんから新しいサンプルを頂きました。下記がそれになります。

 

調べてみると、ポラリスフラッシュメーターと呼ばれる露出計のようです。こちらのサイトにありました。テクスチャーやラベルなどを上手く活用されていてなかなか良いケーススタディになっています。また意匠デザインを決定するこの段階でこういったリアルな質感のイメージが既にある、ということは意思決定や製造プロセスにおいて大きなメリットをもたらすと今更ながら痛感しました。澄川様ありがとうございました。

 

 

ユーザー事例2- 澄川伸一様

前回からかなり間が空いてしまいましたが、KeyShotユーザー事例第2回目をお届けします。今回は工業デザイナーの澄川伸一様にお話を伺うことが出来ました。

澄川さんは千葉大学を卒業された後ソニー株式会社に入社、ウォークマン、ヘッドフォンなど多くの製品のデザインを手がけられた後1992年に独立、以後も 医療機器、測定機器などのプロ用機材から一般向け家電、家具、浴槽、日用品まで多くの製品のデザインを行われています。(澄川さんの作品はこちら、略歴はこちらのサイトをご覧下さい)

 

 

問 まずお仕事の手順というか全体的な流れについて教えて頂けますか?

澄川  最初はまずスケッチを描きます。これはある種のタイムラグがある作業でして、お話を頂いてから大体一週間ぐらいかかります。そうすると突然どこかからか降りてきます(笑)。僕の場合は鉛筆で描いたものをスキャンしてpdfファイルに変換して。すぐにクライアントに送ります。初期段階からデザイン上の摺り合わせをするという点でこれは非常に有効です。

問 なるほど、スケッチの段階でクライアントと意思統一を行って次の段階に進むわけですね。

澄川 はい。その後はVellum(筆者注、工業デザイナーに幅広く使われている2DCAD & ドローイングツール)を使って図形を作っていきます。これはCADを使うというよりもスケッチをなぞっていくようなイメージですね。またワイヤーフレームを作っていく作業ともいえます。

問 なるほど。いきなり3Dツールにいくのではなくその前にVellumを使うわけですね。
(筆者注、実は以前、Vellumを開発/販売する会社にいた経緯がありこの辺り興味深く伺いました)

澄川 はい。で、次にRhinoceros(以下Rhino)で3Dモデリングを行っていきます。実はVellumを使っている時にある程度こういう曲面を作ろうとアタリはつけてあるのですが、実際の作業、つまりサーフェシングはRhinoで行います。美しい曲面で製品を表現するのが自分のデザインのセールスポイントと思っています。ですのでここはRhinoの機能を使ってそれを実現していくフェーズと考えています。2 rail、ネットワークサーフェスなどRhinoの機能を使いながら試行錯誤してきます。

問  話は少し(というかかなり)ずれますが、今のお話非常に興味深いです。3Dモデラーはデザイナーに馴染まない、みたいな話が良く出るのですが、ツール自体の機能やその限界はともかくとして、いきなり3Dで全てを行うのではなく澄川さんの手法では徐々に異なるステップを経てデザインや3D形状を完成させていくというプロセスを踏んでいるのですね。これですとツールの機能上の制限に引っ張られることなく使うことができます。例えば、Nurbsの場合は4辺が必ず隣り合った面と接していないといけないので、その制限上難しい。製品自体が持つ本物のキャラクターラインと本来なんの相関関係も無いので、という話をよく聞くのですが、この手法ですとそのような制限を上手くクリアできますね。

澄川 そうですか。僕自身は現状行っているRhinoを使ってサーフェシングするのが一番合いますね。実はソリッドモデリングも試してみたのですがあまり自分には馴染みませんでした。
(ここで話を元に戻してもらい)この後の工程ですが、Rhinoでモデリングを行って3Dモデルとして完成すると3Dプリンターで出力してモックを作る場合が最近は多いです。すぐに出来てしまうのが一番の魅力ですね。やはり現在の仕事においてはスピードが一番の意味を持ちます。昔と一番異なるところです。

問  なるほど。当たり前ですが手に持った感触、感覚というのはブツがないと始まりませんものね。そうなると3Dプリンターや造型機で作ったモデルはデザインモックの前段階みたいな位置づけなのでしょうか?

澄川 はい。またこの段階でデザインが承認される場合もあります。そうするとデザインモック
ともいえますね。仰るよう形状や感触をモデルを触ってみて確認するのが目的です。それが終わると次の段階でやっとというか遂にKeyShotが出てきます(笑)。

問 やっとですか?(笑)

澄川 モデルだけでは伝わらない表面の素材や質感を見てもらうのが目的です。いくつかバリエーションを作って検討してもらいます。ユーザー側に具体的なイメージをもってもらうのに非常に効果的です。

問 KeyShotを使う一番のメリットはどういった所でしょうか?

澄川 なんといってもマテリアルをアサインすると勝手に綺麗になっていく所が素晴らしいですね。実はKeyShotの前にいろんなツールを試したのですがCG特有のパラメータ設定が厄介でした。KeyShotは自分の好みのマテリアルを予め用意しておいてそれらを必ず使うといった感じです。具体的には金属ならヘアライン、つるつるのもの、サンドブラストそんな形で大ざっぱに分けておきます。マテリアルをあてたらスクリーンショットを撮って完成です。未だ製品の無い段階、実物が手元に無い段階でリアルな質感を表現できる。この部分は非常に強力です。いわば意志決定ツールですね。そういう使い方をしています。

問 ご自身のお仕事のワークフローにとても上手く組み込まれているように思えました。最後にですがKeyShotに関して何か機能上のリクエストはありますか?

澄川 HDRのバリエーションがもっと沢山あると良いですね。僕がデザインする製品は室内で使われるものが多いので室内のライトがもっとあると有り難いです。

問 本日はお忙しい所色々とありがとうございました。

後記
澄川さんの仕事場は都心から約30分、中央線沿線にあります。当日は事務所にお邪魔してお話を伺ったのですがとても魅力的な空間でした。また実際のデザインプロセスにおいてKeyShotがどのように組み込まれて活用されているかを伺うことが出来て非常に有意義な取材となりました。

RhinocerosはRobert McNeel & Associatesの登録商標です。

ユーザー事例- Kom & Co.Design様

Kom & Co.Design社は工業製品のデザインなどを行っている会社です。一般の方には馴染みが薄いかもしれませんが、創業者の小牟田さんは独立される前はauで、例のau design projectを立ち上げた方です。同プロジェクトはどちらかというとダサダサだった(失礼!)同社の携帯に新たな製品コンセプト、方向性を示しました。デザイン一つとってもそれまではありきたりの似たようなつまらないものしかなかったのですが、InfoBarのように斬新な、持っていて格好良い、それでいて他に似たような物がないユニークな製品や多くのカラーバリエーションを揃えるなど(今となっては当たり前なのですが)、当時は筆者も非常に新鮮に感じたことを覚えています。
同社にお邪魔して取締役の迎様から色々とお話を伺ってきました。以下、筆者(長谷川)がインタビューしたものを後からまとめたものです。

お話を伺ったKom & Co.Design 迎様

問:まず御社について教えてください。

「美大の先輩、後輩という関係の人間が集まって工業製品やインテリア製品などのデザインやブランディングコンサルティングを行っています。デザイン家電やオーディオなど結構いろんなことをやっています。後はキャリア向けに携帯のデザインディレクションを行っています。」(筆者中、お仕事を色々見せて頂いたのですが、写真のものは住宅用蓄電システム-スマートグリッド用途のものでしょうか、IPセットボックス、スピーカーなどですがこの他にも色々とユニークなものがありました。ラジコンのコントローラーやペットボトルのパッケージなどなどここでは全部は紹介できませんが、詳しくは同社のHPを御覧ください)

住宅用蓄電システム

IPセットボックス


スピーカー

 

問:仕事の進め方、つまりデザインから製品に具現化していく手法に関して教えてください。

「一般的なデザインワークと同様にまずスケッチがあります。ここで大枠を決めて、次に3DCADに行きます。僕はSolidWorksを使っていますが、設計で使うように綿密にモデリングをしていくわけでなくて、どちらかというと形状を決めていくようなイメージですね。ですので当然後から変更もあります。ただやはり3D形状にしてみないとわからないスケール感というものがあります。モデリング手法でいうとソリッドもサーフェシングも両方使います」

問:どのツールが良い悪いというわけではないのですが、こういう時ってMCADの操作は煩雑じゃないですか?

「そうですね。手数が多いというか、思い通りにいかないというか。ソフトウェアとしての制約はどうしてもあると思います」
(筆者注 これは多くの方が指摘することなのですが現状ではツールの限界というか、MCADだとどうしてもつきまとう問題です。迎さんも仰っていたのですがあまりこのオペレーションに注力しすぎても本末転倒になってしまいます。コンセプトデザインの3Dモデリングに関してはもう少し便利になるといいですね)

問:ちょっと話が逸れましたがでは次にKeyShotについて教えてください。どのように使われていますか?

「3Dモデルが出来上がった段階で、KeyShot側に持っていきます。色のバリエーションを色々作ったり、テクスチャーを貼ったりして質感をつけてきます。KeyShotの場合質感が出やすい。なんていうかソフト側が勝手に質感をつけてくれるというところが非常にメリットが大きかったです。デザインから製造にいたるフローのこの時点では当然まだデザインモックもありません。それでもKeyShotを使えばいろんなデザインアイデアをクライアント側に提案できる。これは大きいですね。今までまったく無かったプレゼン手法が出来るようになったわけですから。色々と可能性が広がります。以前、実は他のレンダリングソフトを試してみたことがあったのですが、パラメータが多くて面倒臭いのと、とにかく時間がかかってそれ原因で導入まで至りませんでした。KeyShotはその辺のボトムネックを解決してくれました。ポイントは扱いやすさとスピードですね」

問:ありがとうございますw。それでは現状のプレゼン手法について教えてください。

「現状、プレゼンを行う時は紙ベースですね。プレゼン資料はカラーで印刷して持っていきます。やっぱり紙が一番わかりやすいというのもあります。みんなでモニターを見てというのはほとんどないのですが、只、今後例えばアニメーションがあったりするとまた変わっていくでしょうね。新しいプレゼン手法、技法には興味があります」

この後製品に関する機能要望や使い方について伺いました。

問:機能に関してこういうものがあったらいい、というリクエストはありますか?

「そうですね、いまあったら便利だな、と思うのは意匠出願等に必要なアングルでカメラを設定して6方向からいっぺんにレンダリングするような機能があったら便利ですね。あとカラーサンプルが沢山あったら便利ですね。Pantoneでいいのですが、そういったマテリアルがあれば便利ですね。テクスチャーに関しても、ヘアライン一つとっても日本人が使うものの方が細かいというかいろいろ拘る部分があるのでそういうのもあると嬉しいですね」

問:なるほど、ありがとうございました。それでは最後に今後の御社の事業展開等についておしえてください。

「国内の仕事も今まで通り続けていくのですが、今後は海外展開というかそういう可能性も考えていきたいです。緻密なモノづくりの経験を活かした事業展開ができれば、と考えています」

問:本日はお忙しい所ありがとうございました。

筆者注:興味深い、面白い話を沢山伺いました。筆者の場合、話が盛り上がるとやや雑談側に振れてしまうきらいがあり話題があちこちに飛んでしまい若干混乱気味でした。申し訳ございませんでした。

その他のデザインワーク

スピーカー

食器


Kom & Co.Design社のサイト